GENETIC ENGINEERING
遺伝子工学の軍事利用
COLUMN 003
 
遺伝子/DNA gene/DNA
なぜ親子はよく似るのだろうか?目鼻立ちから肌の色、そして性格に至るまで、親子は何かとよく似てしまうものだが、それは親から子へと伝わる特別な物質があるからだ。この特別な物質のことを遺伝子≠ニ呼んでいる。では、その遺伝物質はどんなものかというと、人間の体を司る細胞の中で一番大きな物質である核の中にある、酸性の性質を持つ螺旋状のヒモのような物質であることがわかった。これをデオキシリボ核酸(DNA)と呼ぶ。1970年代になると、このさまざまな情報が組み込まれた遺伝子を別の生物に移したり組み替えたりすることによって、病気の診断や治療、新しい植物の開発など幅広い分野で役立てようという、いわゆる遺伝子工学と呼ばれる分野が注目されるようになった。そしてそれを軍事目的にも活用しようとする動きもまた始まっているようだ。
 
ヒトゲノム計画 human genom project
人間には全部で23対(46本)の染色体があり、そこには約10万個の遺伝子が乗っているといわれている。この10万個もの遺伝子がどこにあるのかをすべて調べ上げよう、というのがヒトゲノム計画と呼ばれるプロジェクトで、1989年より本格的な解析が始まった。ヒトゲノム計画の骨子は、まず遺伝子が何番目の染色体のどこの位置にあるのかを調べることから始まる(遺伝子マッピング)。この位置を特定できたら、今度はその遺伝子の塩基配列を決めるシークエンシングと呼ばれる作業を行う。遺伝子のマッピング作業がほぼ完了した2001年の現在では、それぞれの遺伝子がどのような働きをするのかを調べる作業が急ピッチで進められている。これらがすべて解析できれば、遺伝子操作による可能性は大きく広がっていくことだろう。
 
遺伝子治療 gene therapy
遺伝子工学が持つ大きな可能性のひとつに、遺伝子診断や遺伝子治療が挙げられる。遺伝子マッピングによりすべての遺伝子の位置が特定できれば、欠陥遺伝子や病気の原因となる遺伝子を調べることによって、実際に発病する前から病気が起こる可能性を診断することができるようになるからだ。発病の可能性が事前にわかるのであれば、予防する対策を事前に立てることが可能になるし、また、理屈の上では異常な遺伝子を正常の遺伝子に置き換えれば、病気の根本治療ができるということにもなる。しかし、現実にはそううまく事は運ばないようである。従来の技術では、遺伝子を染色体のどこかに入れることは可能であっても、特定の場所を狙い撃ちすることは現在の技術でもできていない。